国宝に指定されている純国産茶碗は2点だけ!
日本の国宝に指定されている茶碗は8点のみ。そのほとんどが中国や朝鮮から伝来したもので、純国産の茶碗はわずか2点だけしかありません。
我々日本人にとって宝であることはもちろん、誇りとも言えるこのツートップをご紹介します。
01
志野茶碗 銘『卯花墻』(うのはながき)
桃山時代に美濃の牟田洞窯で焼かれたもので、作者は不明です。歪んだ造形と白い釉薬の下の鉄絵(鉄を含有する顔料
で絵文様を描く技法)などが特徴です。このぬろっとした柔らかな質感と温もりのある乳白色の色合いは、志野茶碗の
真骨頂ではないでしょうか?この茶碗と対峙すると、なんというか赤ん坊にもどって、お母ちゃんに抱っこされている
ような気分になります。見るものを圧倒するというよりもすべてを包み込むような偉大さを感じる茶碗です。
現在は、三井記念美術館が所蔵しています。三井家伝来の宝物とも言えます。
02
白楽茶碗 銘『不二山』(ふじさん)本阿弥光悦作
桃山時代から江戸時代にかけて書家・陶芸家・芸術家としてマルチな才能を発揮した本阿弥光悦の作品です。「雪景
色の富士山」と「ふたつとない茶碗」というダブルミーニングで命銘されたコンセプチュアルな作品です。釉薬に灰が
かかり、たまたま窯の中で茶碗の下半分が炭化して黒色に変色したというまさに偶然の産物だそうです。
お母さんのような『卯花墻』に対して、こちらは力強く雄大なお父さんを感じさせますね。
光悦は、楽家2代目の常慶に楽焼を習ったと言われています。本家ではないからこそ、自由闊達にアバンギャルドな楽
焼をいくつも残しています。
この『不二山』は、現在サンリツ服部美術館が所蔵しています。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか?志野茶碗、白楽茶碗、いずれも国宝にふさわしい作品ではないでしょうか?
我々日本人にもこの茶碗を生み出したクリエイティビティのDNAが流れていると思うとちょっとゾクゾクしますよね。今回のこの国産ツートップをご紹介しましたが、他の中国や朝鮮伝来の茶碗ももちろんすばらしいものばかりですので、別の機会にご紹介したいと思います!