茶道から、ものの見方をひらく。
一碗の茶をめぐる、道具、季節、空間、ふるまい。茶道には、さまざまなものや人の関係を整え、ひとつの時間と場所をつくるための工夫があります。
私たちは、茶道を作法や知識として紹介するだけでなく、そこにどのような考え方があり、なぜその形になったのかを見ていきたいと考えています。茶碗の形、道具の取り合わせ、光の入り方、季節の表し方。ひとつずつ注意深く見ていくと、これまで何気なく見ていたものにも、それぞれの理由や背景があることに気づきます。
茶道を知ることで、茶道以外のものまで少し違って見えるようになる。東京無一物がつくりたいのは、そんなきっかけになる記事です。
東京無一物という名前
東京無一物という名前は、「本来無一物」という禅の言葉からつけました。
この言葉にはさまざまな解釈がありますが、私たちは、人はもともと何も持たず、何者でもないところから始まっている、という意味で受け取っています。
東京で暮らしていると、毎日のように新しいものや情報に出会います。そのなかで、私たちは何かを選び、手に入れ、ときには手放しながら、自分なりの生活をつくっています。
もともとは何も持っていなかった私たちが、なぜ、あるものに惹かれるのか。なぜ、同じように使えるもののなかから、わざわざひとつを選ぶのか。そして、その選択によって暮らしやものの見方がどう変わっていくのか。私たちが興味を持っているのは、そうしたことです。
その入り口として、茶道を取り上げています。
デザインの視点で、構造を読む
私たちがいう「デザインの視点」とは、茶道を現代的に装飾したり、新しく見せたりすることではありません。なぜこの形なのか。なぜこの場所に置かれているのか。異なるものが、どのような関係を結んでいるのか。目の前にあるものを観察し、その背景にある考え方や構造を読み解くことです。
ここでは茶道を中心に、工芸、道具、建築、庭、和菓子、香りなどについて記事をつくっています。ものの名前や使い方を説明するだけではなく、なぜその形になったのか、どのような環境や考え方から生まれたのか、私たちはそこに何を感じているのかまで、できるだけ丁寧に見ていきます。
私たちが伝えたいのは、特定のものを持つことが豊かな生活につながる、ということではありません。ものの背景を知り、自分がなぜそれに惹かれたのかを考えることで、身のまわりにあるものとの付き合い方は少し変わっていくのではないか。そんなことを考えながら、一つひとつの記事をつくっています。
何もないところから、何を選ぶか
「東京無一物」は、何も持たない生活を勧めるための名前ではありません。
何もないところから、私たちは何を選び、何を大切にして生きていくのか。そのことを、茶道と、そこにつながるさまざまなものや文化を通して考えていきたいと思っています。
東京無一物